第21回 全脳アーキテクチャ勉強会 「テーマ:推論」

2018-03-15(木)18:15 - 20:45

ラゾーナ川崎東芝ビル 15F

〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34

Mikihiro  Hashimoto Yugo  Nagata 西田圭吾 HATA Kazuya atcg Kazuki Natori Sohei Wakisaka 佐野崇 江崎修平 太田博三 Alan Turing 下山田賢也 三木卓 Yuki Noguchi 坂本航太郎 八木 拓真 + 257人の参加者
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3,600円 前払い
学生(懇親会参加)
1,800円 前払い

第21回全脳アーキテクチャ勉強会

テーマ:「推論」

推論は人間の知能の中核とも言える機能であるが、脳におけるその実現形態はいまだ不明である。一方で現象面では認知科学は推論について多くを明らかにしており、また人工知能(AI)ではすでに論理的・確率的な計算論が確立している。

しかし人の推論は人工知能の推論と異なるものがあるとも思われる。
ここで、人の脳における推論のメカニズムについて、脳の現象、人の行動、AIの計算論を突き合わせて議論することは、Deep Learningなどの機械学習の機能の高度化や人と類似した汎用AIの実現に有益と考える。

そこで今回の全脳アーキテクチャ勉強会は、脳、認知、AIの3方向から推論について論じていただき、その統合的理解の可能性を考える。
 

勉強会開催詳細

  • 日 時:2018年3月15日(木) 18:15~20:45(17:30 開場)
  • 場 所:株式会社 東芝 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 ラゾーナ川崎東芝ビル 15F http://toshiba-mirai-kagakukan.jp/visit/information/access_j.htm (株式会社 東芝様のご厚意による会場ご提供) ※ 入場時のご注意:受付は 3F にあります
  • 定 員:学生枠 40名 一般枠 320名
  • 参加費:無料
  • 主 催:NPO 法人 全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
  • 後 援:株式会社 ドワンゴ
  • 懇親会について:勉強会終了後、懇親会(有料)を開催いたします。お店は 川崎屋‐KAWASAKIYA‐ 本店になります。  

講演スケジュール

時間 内容 講演者
17:30 開場
18:00 会場説明
18:10 開会の挨拶 山川宏(全脳アーキテクチャ・イニシアティブ代表)
18:15 導入 大森隆司(玉川大学)
18:25 【脳科学】前頭葉での推論 坂上雅道(玉川大学)
18:55 【認知科学】人の推論過程 服部雅史(立命館大)
19:25 休憩
19:40 【人工知能】ベイジアンネット 植野真臣(電気通信大学)
20:10 導入 大森隆司(玉川大学)
20:20 ディスカッション
20:40 Closing Remark 山川 宏 (ドワンゴ人工知能研究所)
20:45 終了
21:00 懇親会 川崎屋‐KAWASAKIYA‐ 本店

 


坂上雅道氏 講演概要

意思決定とは、2つ以上の選択肢がある場合に、最適な結果をもたらすと思われる選択肢を選ぶ機能です。多くの場合、最適な結果は、最適な報酬です。したがって、意思決定に関わる脳機能の中でも、鍵となるのは価値の計算ということになります。

価値の計算に関わる神経回路は複数あることが、近年の研究からわかってきました。中でも、刺激や反応の結果もたらされる報酬をそれらに結び付ける大脳基底核の働き(モデルフリー)と、環境内の事象の時間的・空間的関係性を脳内にモデル化し、それを元に結果を予想する前頭前野の働き(モデルベース)は、人間の意思決定を理解する上で極めて重要な機能である考えられています。

これらの2つの回路は、その計算法の違いから、異なる推論に関わっていることもわかってきました。今回は、我々の研究室で行ってきた神経生理学実験の結果を紹介しながら、異なる回路で作られる異なる推論機能について考えてみます。

 

服部雅史氏 講演概要

推論は「知」の中核的機能である。とはいえ、堅苦しい定義はその実態に似合わない。

人の推論は、意識的または無意識的に自然になされ、生活に欠かすことができない認知活動である。と同時に、人の推論にはバイアスがあり、しばしば誤る。もちろん、誤りはないに越したことはないが、そもそも「誤り」とは何か。

推論の特性を考えるとき、合理性の概念は一つのガイドラインになり、二重過程の仮説は推論の認知メカニズムについての洞察をもたらす。ところが、合理性には少なくとも二つの意味があり、二重合理性と二重過程の関係は単純ではない。両者の関係について考えを進めると、人の推論の目標多重性が明らかとなり、推論における「意識」の機能の意味が見え隠れする。

本講演では、合理性と意識性を手がかりとし、日常の事例や認知心理学の研究成果を通して、人の推論の特性、ひいては真の知性が何であるかについて、オーディエンスといっしょに考えたい。

 

植野真臣氏 講演概要

人工知能分野における確率推論とは、多変数の同時確率分布を推定し、あるエビデンスが得られたときの各変数の条件付き周辺確率を求めることである。

同時確率分布は、それぞれの確率を 1 か 0 に制約すると論理値推論、条件付き独立性を仮定すると確率論理やベイズ推論を表現でき、最も広い表現力を持つ。

様々な最新の機械学習手法はこの同時確率分布を推定するための手法であり、近似精度と計算量のトレードオフがある。ビッグデータのように変数数が大きくなると、厳密な同時確率分布の分解であるベイジアンネットワークからそれを無向化したマルコフネットワーク、さらにその確率構造を簡易化して近似したマルコフ確率場、その確率構造をより簡易化したニューラルネットワークモデル(深層学習)へと近似精度を減じさせ、計算量が小さいモデルが相応しくなる。

本講演では、確率推論の手法と利点について解説し、さらに同時確率分布の近似精度と計算量という観点から様々な機械学習手法を俯瞰する。結果として、ニューラルネットワークモデルが計算量と近似精度をバランスよく調整し、確率推論を実用化していることを示唆する。

 

運営スタッフ

  • 実行委員長      近藤昭雄
  • 司会進行       近藤昭雄
  • 登壇者調整担当    川村正春
  • Doorkeeper担当     藤井烈尚
  • 動画記録       藤井烈尚
  • 撮影担当       門前一馬
  • 懇親会担当      近藤昭雄
  • マイク担当      横田浩紀

 

全脳アーキテクチャ勉強会オーガナイザー

◎ 産業技術総合研究所 人工知能研究センター脳型人工知能研究チーム 一杉裕志

1990年東京工業大学大学院情報科学専攻修士課程修了。1993年東京大学大学院情報科学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年電子技術総合研究所(2001年より産業技術総合研究所)入所。プログラミング言語、ソフトウエア工学の研究に従事。2005年より計算論的神経科学の研究に従事。

「全脳アーキテクチャ解明に向けて」

◎ 株式会社ドワンゴ人工知能研究所 所長 山川宏

1987年3月東京理科大学理学部卒業。1992年東京大学で神経回路による強化学習モデル研究で工学博士取得。同年(株)富士通研究所入社後、概念学習、認知アーキテクチャ、教育ゲーム、将棋プロジェクト等の研究に従事。フレーム問題(人工知能分野では最大の基本問題)を脳の計算機能を参考とした機械学習により解決することを目指している。

http://ailab.dwango.co.jp/

◎ 東京大学 准教授 松尾豊

東京大学で、ウェブと人工知能、ビジネスモデルの研究を行っています。 ウェブの意味的な処理を人工知能を使って高度化すること、人工知能のブレークスルーをウェブデータを通じて検証することを目指しています。

http://ymatsuo.com/japanese/

全脳アーキテクチャ・イニシアティブ創設賛助会員

株式会社ドワンゴトヨタ自動車株式会社株式会社Nextremer株式会社PEZY Computingパナソニック株式会社株式会社IPパートナーズ株式会社東芝
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その他関連情報

これまでに開催された勉強会の内容

第20回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 海馬における文脈表現

第19回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 脳・人工知能とアナログ計算・量子計算

第18回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 全脳規模計算

第17回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 失語症と発達性ディスレクシア ~

  • 失語症と発達性ディスレクシア
  • 脳内神経繊維連絡と失語症
  • 発達性ディスレクシア - 生物学的原因から対応まで

第16回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 人工知能は意味をどう獲得するのか ~

  • ヒト大脳皮質における意味情報表現
  • 画像キャプションの自動生成

第15回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 知能における進化・発達・学習 ~

第14回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 深層学習を越える新皮質計算モデル ~

  • 大脳新皮質のマスターアルゴリズムの候補としての Hierarchical Temporal Memory (HTM) 理論
  • サル高次視覚野における物体像の表現とそのダイナミクス
  • 勉強会概要と発表資料

第13回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ コネクトームと人工知能 ~

第12回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 脳の学習アーキテクチャー ~

第11回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ Deep Learning の中身に迫る ~

  • 深層学習の学習過程における相転移
  • Deep Neural Networks の力学的解析
  • SkymindのDeep Learning への取り組み
  • 勉強会概要と発表資料

第10回 全脳アーキテクチャ勉強会 「全脳アーキテクチャのいま」~ 全脳アーキテクチャプロジェクトとそれをとりまく周辺の最新状況報告 ~

  • 全脳アーキテクチャの全体像
  • 人工知能の難問と表現学習
  • 全脳アーキテクチャと大脳皮質モデル BESOM の実用化研究の構想
  • 全脳アーキテクチャを支えるプラットフォーム
  • 人工知能・ロボット次世代技術開発
  • 汎用人工知能に向けた認知アーキテクチャが解決するべき知識の課題
  • 感情モデルと対人サービス
  • 若手の会の活動報告
  • 勉強会概要と発表資料

第9回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 実世界に接地する言語と記号 ~

  • 脳内視覚情報処理における物体表現の理解を目指して ~ Deep neural network の利用とブレイン・マシン・インタフェースへの応用 ~
  • 記号創発ロボティクス ~内部視点から見る記号系組織化への構成論的アプローチ~
  • 脳科学から見た言語の計算原理
  • 勉強会概要と発表資料

第8回 全脳アーキテクチャ勉強会 時系列データ ~ 脳と機械学習技術は時間をどう扱うのか ~

  • 脳における時間順序判断の確率論的最適化
  • 順序とタイミングの神経回路モデル
  • 深層学習によるロボットの感覚運動ダイナミクスの学習
  • 勉強会概要と発表資料

第7回 全脳アーキテクチャ勉強会 感情 ~ 我々の行動を支配する価値の理解にむけて ~

  • 感情の進化 ~ サルとイヌに見られる感情機能 ~
  • 情動の神経基盤 ~ 負情動という生物にとっての価値はどのように作られるか? ~
  • 感情の工学モデルについて ~ 音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究 ~
  • 勉強会概要と発表資料

第6回 全脳アーキテクチャ勉強会 統合アーキテクチャー ~ 神経科学分野と AI 分野の研究蓄積の活用に向けて ~

  • 分散と集中:全脳ネットワーク分析が示唆する統合アーキテクチャ
  • 脳の計算アーキテクチャ:汎用性を可能にする全体構造
  • 認知機能実現のための認知アーキテクチャ
  • 勉強会概要と発表資料

第5回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 意思決定 深いゴール探索と深い強化学習の技術をヒントにして、前頭前野の機構の解明を目指す ~

  • Deep Learning とベイジアンネットと強化学習を組み合わせた機構による、 前頭前野周辺の計算論的モデルの構想
  • BDI ― モデル、アーキテクチャ、論理 ―
  • 強化学習から見た意思決定の階層
  • 勉強会概要と発表資料

第4回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能 ~

  • 全脳アーキテクチャ主旨説明
  • AI の未解決問題と Deep Learning
  • 脳の主要な器官の機能とモデル
  • 脳をガイドとして超脳知能に至る最速の道筋を探る
  • 自然な知覚を支える脳情報表現の定量理解
  • 脳型コンピュータの可能性
  • 勉強会概要と発表資料

第3回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 海馬:脳の自己位置推定と地図作成のアルゴリズム ~

  • 「SLAM の現状と鼠の海馬を模倣した RatSLAM」
  • 「海馬神経回路の機能ダイナミクス」
  • 「人工知能 (AI) 観点から想定する海馬回路の機能仮説」
  • 勉強会概要と発表資料

第2回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 大脳皮質と Deep Learning ~

  • 「大脳皮質と Deep Learning」
  • 「視覚皮質の計算論的モデル ~ 形状知覚における図地分離と階層性 ~」
  • 「Deep Learning 技術の今」
  • WBA の実現に向けて: 大脳新皮質モデルの視点から
  • 勉強会概要と発表資料

第1回 全脳アーキテクチャ勉強会 ~ 機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能 ~

  • 勉強会開催の主旨説明
  • AI の未解決問題と Deep Learning
  • 脳の主要な器官の機能とモデル
  • 脳を参考として人レベル AI を目指す最速の道筋
  • 勉強会概要と発表資料

全脳アーキテクチャ勉強会の開始背景(2013年12月)

人間の脳全体構造における知的情報処理をカバーできる全脳型 AI アーキテクチャを工学的に実現できれば、人間レベル、さらにそれ以上の人工知能が実現可能になります。これは人類社会に対して、莫大な富と利益をもたらすことが予見されます。例えば、検索や広告、自動翻訳や対話技術、自動運転やロボット、そして金融や経済、政治や社会など、幅広い分野に大きな影響を与えるでしょう。

私達は、この目的のためには、神経科学や認知科学等の知見を参考としながら、機能的に分化した脳の各器官をできるだけ単純な機械学習器として解釈し、それら機械学習器を統合したアーキテクチャを構築することが近道であると考えています。

従来において、こうした試みは容易ではないと考えられてきましたが、状況は変わりつつあります。すでに、神経科学分野での知見の蓄積と、計算機速度の向上を背景に、様々な粒度により脳全体の情報処理を再現/理解しようとする動きが欧米を中心に本格化しています。 また Deep Learning などの機械学習技術のブレークスルー、大脳皮質ベイジアンネット仮説などの計算論的神経科学の進展、クラウドなどの計算機環境が充実してきています。

こうした背景を踏まえるならば、全脳型 AI アーキテクチャの開発は世界的に早々に激化してくる可能性さえあります。 そこで私達は、2020年台前半までに最速で本技術を実現できるロードマップを意識しながら、この研究の裾野を広げていく必要があると考えています。 そしてこのためには、情報処理技術だけでなく、ある程度のレベルにおいて神経科学等の関連分野の知見を幅広く理解しながら、情熱をもってこの研究に挑む多くの研究者やエンジニアの参入が必要と考えています。

ラゾーナ川崎東芝ビル 15F
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コミュニティについて
全脳アーキテクチャ勉強会

全脳アーキテクチャ勉強会

全脳アーキテクチャ勉強会は、人間のように柔軟汎用な人工知能の実現に興味のある研究者、脳に興味のあるエンジニア、関連分野(神経科学、認知科学等)の研究者間での交流を促進し、全脳アーキテクチャを実現するために発足されました。

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