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AIが人と向き合う時,人間の意図や気持ちの理解は決定的に重要です.それには,もちろんAIが高い知能を持つことが必要ですが,それだけでは足りません.それと同時に,AIが人の感情や願望を理解できることも必要です.
一方で私達は日常,理性的に考えて行動すると思っています.しかし最近の脳科学は,そのような判断も結局はより価値の高い行動を選んでいるに過ぎないことを示唆しています.
感情とは,基本的な価値システムである情動に基づき,多様な場面の価値を派生的に計算するシステムであると思われます.その価値が行動を決めるという意味で,我々の行動は感情に支配されています.全脳アーキテクチャが目指す汎用AIにとって,その理解は重要です.
そこで今回は以下の点に注目し,専門家の方々を招いて勉強会を開催します.
キャンセル待ちをされている方も多数いますので、ご都合がつかず参加できなくなった場合は,必ず参加のキャンセルをお願い致します。なるべく多くの方にご参加頂きたいと思っておりますので、ご協力の程どうぞお願い致します。
日 時:2014年9月22日(月) 18:15~21:00 (開場: 18:00~19:00)
場 所:グラントウキョウサウスタワー 41Fアカデミーホール
定 員:200名(お申込み多数のため、180名から200名に増枠しました)
参加費:無料
申込方法:本イベントに参加登録のうえ,当日会場受付にてお名前またはチケットをご提示下さい。
ヒトは感情の動物だといわれる。もちろんこれは、ヒトの行動を支配しているのは結局のところ感情だ、理屈ではわかっていてもどうにもならない、という嘆きを表現したものであるが、文字通りに受け取ると、これはヒトの感情過程の多様性を表したものともいえる。実際ヒトは、喜び、悲しみ、怒りなど、ある程度の生理的な裏付けのある基本的な感情の他に、愛、慈しみ、思いやり、恨み、妬みなどの種々の高次感情を示す。感情はまたヒトの大切なコミュニケーションのツールでもあり、ヒトどうしの関係構築の基本部分として機能している。この話題提供では、フサオマキザルとイヌに見られる他者の感情の読み取りならびにその適応的利用と、優しさや妬み、感謝などの高次(社会的)感情、及び第3者のやり取りの感情的評価などについて、実証的データを踏まえて考察する。
http://www.psy.bun.kyoto-u.ac.jp/fujita/
恐怖や痛みの不快感などの情動は、危険な場所や刺激を記憶するなど、我々の生存維持にとても大切な役割を担います。喜怒哀楽といった感情も、我々の個体保存や種保存に有利に働くよう発達したシステムであると思われます。しかし一方で、慢性痛や不安障害など、過度あるいは制御しがたい負情動は、日常の活動・思考を妨げることで我々の生活の質を損ないます。では、痛みがどのように苦痛という「負情動価値」に翻訳されるのでしょうか? このシンプルな疑問すら、実は未だ不明な点が多いのが現状です。その解明への糸口として現在我々は、様々な感覚情報に負情動価値を結び付ける扁桃体という脳領域に注目しています。そして侵害受容や損傷を苦痛へと変換する機能にも、この脳領域への入力が重要な役割を担うと考えています。本日のトークでは、情動依存的学習実験を中心に、情動の神経基盤に対する生命科学的アプローチを古典から最近の知見までを概説し、感情の神経科学的機構について話題提供できればと思います。
http://researchmap.jp/awatabe/
人の心や情動は今まで科学定量化の対象となりませんでした。また、「感情や情動がどこから来るのか?」という歴史的な論争の結論も出ていません。そして、感情が周囲の環境による影響で評価や感じ方が変わるという、感情の認知問題もあります。しかし、脳計測技術の発展により、現代では、従来の主観的な研究だけではなく、薬物投与や情動の影響を脳活動の計測により確認することが可能となりました。また、脳と心とホルモンの個別の研究が始まりました。私たちは、脳や心拍、ホルモン等の生理指標からパラメタを求め、生理信号の分析から心のメカニズムを解明しようと、音声と生理パラメタの比較を可能する手法を独自に開発し、心のメカニズムを工学的に解明するシステムの研究、開発を行いました。その結果、音声から情動の複雑な状態も可視化する感性制御技術ST(Sensibility Technology)を確立し、現在では様々な要途で使われています。また、私達が東京大学医学部で取り組んでいる、医療とその周辺分野に向けた新たな提案「音声病態技術(Pathologic condition analysis and Sensibility Technology)」についても紹介させて頂きます。
http://www.agi-web.co.jp/about/ceo.html
1979年東京大学大学院修了.工学博士.東京農工大,北海道大学を経て2006年より玉川大学工学部/脳科学研究所教授.
脳という神経機構に知的な行動が生まれる情報的なメカニズムに興味があり,認知科学,人工知能,発達,神経科学などの諸学問を足をつっこみながら,心に関わる脳の情報処理過程の解明と工学的な方法による実現を試みている.最近の主要テーマは意図推定に基づくサービスロボットの開発.
1990年東京工業大学大学院情報科学専攻修士課程修了。1993年東京大学大学院情報科学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年電子技術総合研究所(2001年より産業技術総合研究所)入所。プログラミング言語、ソフトウエア工学の研究に従事。2005年より計算論的神経科学の研究に従事。
1987年3月東京理科大学理学部卒業。1992年東京大学で神経回路による強化学習モデル研究で工学博士取得。同年(株)富士通研究所入社後、概念学習、認知アーキテクチャ、教育ゲーム、将棋プロジェクト等の研究に従事。フレーム問題(人工知能分野では最大の基本問題)を脳の計算機能を参考とした機械学習により解決することを目指している。
東京大学で、ウェブと人工知能、ビジネスモデルの研究を行っています。 ウェブの意味的な処理を人工知能を使って高度化すること、人工知能のブレークスルーをウェブデータを通じて検証することを目指しています。
人間の脳全体構造における知的情報処理をカバーできる全脳型AIアーキテクチャを工学的に実現できれば、人間レベル、さらにそれ以上の人工知能が実現可能になります。これは人類社会に対して、莫大な富と利益をもたらすことが予見されます。例えば、検索や広告、自動翻訳や対話技術、自動運転やロボット、そして金融や経済、政治や社会など、幅広い分野に大きな影響を与えるでしょう。
私達は、この目的のためには、神経科学や認知科学等の知見を参考としながら、機能的に分化した脳の各器官をできるだけ単純な機械学習器として解釈し、それら機械学習器を統合したアーキテクチャを構築することが近道であると考えています。
従来において、こうした試みは容易ではないと考えられてきましたが、状況は変わりつつあります。すでに、神経科学分野での知見の蓄積と、計算機速度の向上を背景に、様々な粒度により脳全体の情報処理を再現/理解しようとする動きが欧米を中心に本格化しています。 またDeep Learning などの機械学習技術のブレークスルー、大脳皮質ベイジアンネット仮説などの計算論的神経科学の進展、クラウドなどの計算機環境が充実してきています。
こうした背景を踏まえるならば、全脳型AIアーキテクチャの開発は世界的に早々に激化してくる可能性さえあります。 そこで私達は、2020年台前半までに最速で本技術を実現できるロードマップを意識しながら、この研究の裾野を広げていく必要があると考えています。 そしてこのためには、情報処理技術だけでなく、ある程度のレベルにおいて神経科学等の関連分野の知見を幅広く理解しながら、情熱をもってこの研究に挑む多くの研究者やエンジニアの参入が必要と考えています。
全脳アーキテクチャ勉強会は、人間のように柔軟汎用な人工知能の実現に興味のある研究者、脳に興味のあるエンジニア、関連分野(神経科学、認知科学等)の研究者間での交流を促進し、全脳アーキテクチャを実現するために発足されました。 2018年6月以降のイベント ⇒ https://wba-meetup.connpass.com 主催:全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
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